
第7話 ある一日
ある日のサロンワークにスポットをあて、プライベートトップスタイリストという仕事を具体的に知ってもらおう。
9:15 出社
サロン一のキザ男とよばれている僕。まずは自身のヘアスタイリングから。
9:35 朝礼/営業準備
予約表をチェック。
それぞれのお客さんに提案するスタイルはカウンセリングをする前に、だいたいきめてある。
10:00 開店/朝一番のお客さん来店
埼玉在住のご夫婦。
ご主人はカット、奥さまはカラーとカットをオーダー。
2歳のお子さんがいるので、おふたりで交代しながら施術をうける。
奥さまは、ふだん子育てに忙しく、家族で外出するこの日を楽しみにしてくれている。
「いつも違うスタイルでいたい」と僕への「お任せ」オーダー。
ご主人も毎回違った奥さまの姿に喜んでくれる。
12:00 2人目のお客さん来店
友人の披露宴に出席するため、ドレスアップで訪れた女性。
職業はスタイリストなだけあってゴージャスな装い——というわけで、王道のアップスタイルにはせず、あえてナチュラルなダウンスタイルを提案する。
13:00 3人目のお客さん来店
個性的な作品を生みだすアートディレクターの彼女は、一年中変わらない白髪に近いブロンドヘアーにするため、ブリーチ+カラーをオーダー。
トレードマークの「ツーブロック刈上げ」をキープするため、2週間に1度は来店する。
15:30 4人目のお客さん来店
20年にわたり当店に通う常連の女性。
僕がシャンプーボーイだったころの姿を知る希少な存在だ。
先輩から引き継いで10年、僕のことを信頼し、いつも「お任せ」オーダーしてくれる。
この日は、胸まで伸びたロングスタイルをばっさりと、ボブスタイル+柔らかいパーマを提案。
劇的なイメージチェンジに感動してくれた。
17:30 5人目のお客さん来店
韓国在住の専業主婦の彼女は、国際電話で予約の連絡をくれる。
母国には彼女の気に入るサロンは見つからず、日本でのショッピングと僕のカットを楽しみに、月に1度は日本にやってくる。
黒髪の美しさで、カラーリングはせず、おなじみのボブスタイルをキープ。
18:30 6人目のお客さん来店
某有名セレクトショップのプレスをつとめる友人。
フアッション業界の最先端で活躍する彼女は、重めの直線的な前髪と、腰まであるスーパーロングというスタイル。
この日は前髪だけをカット。
19:00 閉店/デスクワーク
閉店後の日課は、お客さま一人ひとりのカルテを記入すること。
提案したヘアスタイルのみならず、会話に出てきた大切なキーワードを書きとめていく。
これが次回の来店での、つながる接客やヘアスタイルの提案に役立つのだ。
2011年9月11日
第8話「シャンプーボーイ」につづく
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