第4話 自由を手にする

 

 

 

 15歳の春。

 高校は、長野市内でも指折りの人気校にはいった。


 なぜそこを選んだのか。

 

 とにかく私服で通える学校だったし、なんだか自由そうだと、勝手にきめてしまったのだ。


 中学3年の秋から、放課後も学校に残って勉強した。

 

 夢中になると楽しくなってくる。

 そうしたい、そうなりたい、手に入れたいと思うと、僕はなりふりかまわず、がむしゃらになってしまうのだ。

 

 

「ここは、いったいなんなんだ!」


 入学してまもなく、特大のカルチャーショックに襲われた。

 先輩たちがカッコよすぎるし、カワイイし、めちゃくちゃオシャレ。

 

「負けた」

 

 オキシドールという薬品で頭は茶髪、眉毛も細く剃っていた。

 格好は、カーハートのワークパンツに、腰に巻きつけたネルシャツ。

 ファッションセンスは、だれにも負けない自信を持っていた……。

 

 危機におちいったプライドを一刻も早く修復し、かならず自分のスタイルを確立してやる。

 

 僕は奮い立った。


 

 中学時代に坊主だったことは前に話した。


 高校で髪型の自由を手に入れた僕は、まず、ボサボサに伸びきった髪をどうにかしたいと思った。

 

 で、オシャレな先輩から、長野市内で一番オシャレとされる美容室を紹介してもらうのだが、その、美容室というより「サロン」との出会いが、僕を美容の道へといざなうことになるとは、だれが予想できただろうか。

 

2011年8月20日

第5話「俺、美容師になるよ」につづく

写真:宥海(Junior Suite)
写真:宥海(Junior Suite)

合同会社土曜社 150-0033 渋谷区猿楽町11-20-305

t. 050-3633-1367 f. 03-6369-3339 tsuyoshi.toyota [at] doyosha.com