第15話 続スタイリスト

 

 

 アシスタントの給料は安いけれど、スタイリストになれば一気にもらえる額が跳ね上がり、アシスタント時代とは打って変わってぜいたくな生活ができる――? 現実は、そんな甘い世界ではない。

 

 スタイリストデビューしたからといって、新規のお客様をドンドンもらえるわけではない。ある程度の売上をコンスタントに上げられるようになるまで、ほぼ自力で数字を伸ばしていかなければならない。

 

 スタイリストは、会社と合意のうえで決定した年間の総売上の数字を、各月に振り分けるのだが、美容業界の繁盛する月である12月と3月を踏まえ、過去のデータを参考にしながら各月のノルマの数字をみずから決めていく。

 

 月ごとのノルマを達成するためには、2つの重要な要素がある。

 

 まず、客単価である。世の中には色々な美容室があり、カット1500円のディスカウント店もあれば、カットだけで1万5000円なんていうカリスマ美容師を擁する青山のサロンもある。もっと高額なスタイリストもいるだろう。

 

 客単価は、カットだけではなく、カラー、パーマ、ストレート、トリートメントなどの追加メニューによって上下する。カット、カラー、パーマ、トリートメントで3万円、前髪カットと根元のカラーで1万円という感じだ。

 僕のサロンでは、9000円~1万5000円ぐらいが客単価の相場だろう。

 

 次に客数である。カットのみのメンズ客が多いスタイリストは、客単価も9500円あたりにとどまり、毎日忙しいわりに売上は伸びなかったりする。

 

 一方、総客数は少ないにもかかわらず、女性客の比率が高いスタイリストは、カット+ α の追加メニューがついて客単価は1万5000円にせまり、売上も当然大きい。

 

 客数が多いからといって、売上が高いわけでもないのが、この業界のおもしろさかもしれない。

 

2011年11月5日

第16話「スタイリストの収入」につづく

 

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