第11話 モデルハント

 

 

 

 モデルハント=カワイイ女の子をつかまえるの意。

 

 アシスタントはモデルをつかまえて、カット、パーマ、カラーなど技術を磨くための練習台になってもらう。

 そして将来、スタイリストとしてデビューしたあかつきには、そのまま顧客になってもらわなければならない。

 

 そんなことも視野にいれているのだから、接し方にせよ、作るスタイルにせよ、決して手を抜けない。ファンになってもらい、指名をもらうためにも、練習したいスタイルをつくり出すだけでなく、最高のサービスでもてなすことになる。


 そんなアシスタントのみならず、スタイリストにとってもモデルハントは重要な「仕事」だ。

 

 雑誌撮影のためのモデルはもちろんのこと、独自のスタイルブック制作やサロンの公式ウェブサイト掲載にも使うため、モデルの質は高ければ高いほど良い。カワイイ女の子は何人いても足りないくらいだ。

 

 

 ここからは、モデルハント略して「モデハン」の極意についてお話ししたい。

 

 まずは、声をかける角度から説明しよう。

 

 相手の前方45度、向かって右側から声をかける。これが鉄則だ。

 相手の心臓側から声をかけることが相手に “安心感” を与えることは、心理学的に立証されている。

 

 声のトーンも大切だ。

 明るく元気にゆっくりと話しかける。

 街で見知らぬひとに声をかけるという行為は、想像以上に、こちらの表情やテンション、緊張感までもがダイレクトに伝わるものだ。

 ネガティブな要素が相手に伝わると成功率はぐんと落ちる。


 さらに成功率を上げていくには小細工も必要だ。

 サロンのショップカードや名刺は、あるに越したことはない。それをまっ先に提示しながら、用件は明確に伝える。

 ヘアスタイルのイメージ写真なんかもあるとさらに効果的だ。

 

 つぎに、シーンやシチュエーションについても検証していこう。

 

 まず、混雑した通りは避けたい。周囲の混雑を気にされては、まず立ち止まってもらえないし、話さえも聞いてもらえない。

 そういった場合は、話ができそうな場所に誘導するのがポイントである。

 

 また、1人で歩いているときをねらうということも重要なポイントだ。

 友だちと2人、複数の友だちと、はたまた彼氏らしき男と2人——これらの悪条件は成功率にかなり響いてくる。

 彼氏とのデートらしき女の子は、どんなに可愛くてもパスする——成功率はゼロだ、無駄足は食いたくない。

 

 

 身だしなみや心構えも成功法の一つだ。

 

 第一印象ですべてが決まるといっても過言ではない。
 自身がターゲットとする女の子の好みを知ること。もうこうなってくると恋愛のようだが——まずファッション、そして清潔感、香水までも気にしてトータルコーディネートを完璧に家を出る。

 

 そして何より大事なことは「心」である。

 熱意や情熱、誠意。自信を持ち、堂々と対応できれば、それはオーラとなったり、目から伝わる。

「この人なら……モデルになってもいいわ♡」と思わせたら勝ちである。

 

2011年10月8日

第12話「続モデルハント」につづく

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